※)このページは公演前に告知としてつくられたものです。
Sky Theater Project・第一回公演
「SKY 〜名前のないソラ〜

作:四方田直樹 / 演出:内木田ゆうき

イラスト:上田勝彦

●出演●
中島ボブ / 内木田ゆうき / 四方田直樹
ナオヤイトウ / 上島亜由美 / たきざわちえ象
ほか

国境という名の線を引き
人が地上を支配しようとも

一つしかない海を七つに分け
人が海を支配しようとも

空はどこまでも空のままだ

空に名前はない「名前のない空」

・日時・
1998年3月6日(金)19:00〜/
7日(土)14:00〜,19:00〜/8日(日)14:00〜,18:00〜

※)開場は開演時間の30分前です。

・場所・
明大前キッド・アイラック・アート・ホール
(東京都世田谷区松原2-43-8)

キッドアイラック地図

※)甲州街道沿い。明大和泉キャンパス前。
最寄り駅は京王線明大前駅です。

・料金・
前売り:1600円 当日:1800円

[お問い合わせはこちらのページもしくは、メールにて]

空になまえはない

 たとえば西遊記です。 あの西遊記です。中国は唐の時代、ときの都、長安から三蔵法師の旅は始まります。長く険しい道程が始まる予定でした。旅を始めて3日ほどたつと三蔵に3人のお供がつきました。3人は「けろっぴ」「シノラー」「ピカチュー」と名乗りました。三蔵は「あれ、なんかちょっと違うんじゃないかな?」と思いながらも、とても愉快で楽しい連中だったのでいっしょに旅をすることにしました。
 旅を始めて一週間ほどたちました。三蔵法師は3人ととっても仲良くなっていてこのころには、「私と天竺まで旅する運命にあった3人とはこの人たちに間違いない」とマジで思うようになっていました。ところが大変なことが起きました。なんと目の前に天竺とおぼしき都が現われたのです。最初、三蔵は妖怪のまやかしかな? といぶかったものですがどうやら本当に天竺らしいのです。ですがいまいち確証が持てません。町の人はみんな外国人(たぶんインド人)だったので中国語が通じず、「ここは天竺ですか?」ときけなかったからです。「ここが絶対天竺だよ」「そんなことどうでもいいですぅー先に進みましょうーげへへへへ…」「ピカ、ピカチュー!」意見がまとまるどころか3人は喧嘩を始めてしまいました。三蔵は悩んだあげく「ここは天竺じゃない」という結論に達し、3人と涙を飲んで岐れ、天竺への旅を再開しました。
 このような仲間との出会いと別れ、天竺らしき都の通過をくり返し繰り返しして、幾年月。今、三蔵がいっしょに旅をしているのは「孫悟空」「猪八戒」「沙悟浄」という妖怪変化で、目の前にはどうやら今度こそ本当に天竺だと思われる都市の入り口が見えます。ですが、三蔵は旅を続けるつもりでいます。なんどもなんども同じことを繰り返してきたので「これが絶対に正しい」という事がわからなくなってしまっていたのでした。たぶん三蔵は死ぬまで旅を続ける事でしょう。理想の仲間と本当の目的地を求めて。

 たとえばあなたです。 これを読んでいるあなたです。あなたは自分の最高の仲間と最高の居場所を求めて旅をしているとします。旅もだいぶ長くなってきました。10年、20年、それ以上かもしれません…学校、サークル、職場、いろんなところで仲間と居場所を作ってきたと思います。常に今いるところが最高だと思っていてももっと最高なところがあるんじゃないかと常に考えてしまう。そんな日々を過ごしているとします。さて、あなたはいつこの考えをやめるつもりですか?

 たとえば空です。 鳥が飛ぶあの空です。空には名前がありません。陸にも海にも名前があるのに空にはないのです。空はどこまでいっても空のままだから。
ある人はいいます。
「だから空の果てに行きたいと思うことはもとより、考えることも無意味だ。そんなものはないのだから」
 だけど、私は空の限界を知りたいと思わずにはいられないのです。

四方田直樹
※ 今回の作品はコメディーを予定しております。

(SKY 〜名前のないソラ〜 チラシより抜粋)


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