※)このページは告知用に作成されたものです。公演は無事、終了しました。

Sky Theater PROJECT Vol.7
「あなたのことはすべて」

砂の城はくずれない……

下北沢 OFF・OFFシアター
2002年5月15日(水)〜5月19日(日)

チケットぴあにて4/1より販売中
Pコード: 693-149

《今回のストーリー&登場人物紹介》

◆PRE_STORY◆
2人は、はじめ3人だった。

謎かけでも、哲学的な意味でもなく、現実として3人だった。
北本春日と北本冬至の姉弟は、「双子」という言葉でくくられることが多い。
しかし、7歳になるまで2人は、「双子」と呼ばれたことはなかった。睦月が風邪をこじらせて死んでしまうまでは、「三つ子」と呼ばれていたからだ。
北本家の三つ子は生まれたとき、いずれも1000グラムに満たない未熟児で、成長してからもちょっとした病気で命に関わるような状態に陥ることがよくあった。
主治医は、3人とも10歳まで生きられれば幸せだと両親に告げた。
しかし、現在、2人は何の問題もなく学生生活を送っている。
冬至が、若干運動に規制がある程度である。
親類で集まるようなことがあると叔母たちは、「睦月ちゃんのおかげで、元気になれたのよ。睦月ちゃんの分まで頑張らなくちゃね」というようなことをよく言う。
そう言われると、冬至は「そうですね」と愛想笑いをし、春日はむくれた。
2人ともその言われ方が好きではなかった。2人がそんな態度をとるのを見て両親は「睦月を踏み台にして自分たちが生かされている」と考えているのではないかと思い、何度か子供たちと話し合った。2人はそれを否定したが本当の理由を話すことはなかった。
大した理由ではなかったが、睦月のことは隠しておきたかったからだ。

2人は、睦月を過去の存在として語ることが、感情的ではなく文法的に間違っていると思っていた。
2人にとって、睦月は現実に生きているのだから。

◆SOME_RULES◆
春日と冬至の中には睦月がいる。
睦月が死んだ後、いつの頃からか、睦月は2人の身体を借りてこの世界に顔を出すようになった。その時間はまちまちで、数秒間でいなくなることもあれば、ほぼ1日中2人のどちらかと入れ替わっていることもある。
春日も冬至もこの入れ替わり現象を特に異常なことだと思っていない。自分たちは3人で2つの「身体」という入れ物を使ってるだけなんだと考えている。

【入れ替わりの条件】
1. 特に法則性はない。いついかなる時にもその可能性がある。
2. 春日と冬至の両方の身体に同時に睦月が現れることはない。この世に2人の睦月が存在するような事態はないのである。
3. 春日と冬至のお互いの身体が入れ替わるようなことは、今のところ無い。
4. このことを知っているのは彼ら3人だけである。

《今回のストーリー&登場人物紹介》

◆作・演出◆
四方田直樹

◆出演◆
檜枝美希/藤田英明
たきざわちえ象/石川秀樹
今井香/本多智(劇団ラムネ堂)
宮内怜/木下都生
木村奈々恵/尾方康宣
大木としたか/柏原雅美
丸山哲司

◆スタッフ◆
舞台監督:高木俊介
照明:上田勝彦
音響:海野朋子
舞台美術:向井登子
映像:中原充
宣伝美術:たけうちこうた
制作:林田真
制作補佐:堀口大介
企画・製作:Sky Theater PROJECT

◆日程◆
2002年5月15日(水)〜5月19日(日)

 マチネソワレ
15(Wed.) 19:00〜
16(Thu.) 19:00〜
17(Fri.) 19:00〜
18(Sat.)14:00〜19:00〜
19(Sun.)14:00〜18:00〜
(受付開始は開演時間の60分前、開場は30分前です)

◆チケット◆
全席自由
前売:2,300円/当日:2,500円
(当日のみ中高生特別割引料金:1,000円)

◆劇場◆
改札出たら左側
下北沢OFF・OFFシアター
(小田急線・京王井の頭線『下北沢』駅南口向かい)
東京都世田谷区北沢2-11-8 ペルモビル3F
TEL:03-3424-3755

◆お問い合わせ◆
Sky Theater PROJECT
090-3905-7922(制作担当:林田)


あなたのことはすべて

「あなたのことはすべて」は、ちょっと変わった境遇の姉弟が主人公のお話。昔死んだもう一人の兄弟がひょっこり自分と入れかわってしまう双子が主人公のシリーズ。
二人だって「これはやっぱり正常なことではない」なんて考えたりした時期もあるのだろうけど、考えたところで状況が変わるわけでもないので、今は自然に流している。傍から見れば大変そうに思えることがあるかもしれないけれど、本人たちは、それほど大変だとは思っていない。たまに不便に思うこともあったとしても、それは両手に荷物を持っていて、傘をささなくてはならない時に思う程度の不便さでしかない。ヒトは腕が二本しかないことを嘆いたりはしないのだ。

いつか、二人は睦月と別れなければならない時を迎えるだろう。それよりも先に、どちらかの死がやってくるかもしれない。

今回のお芝居は「肉体とは精神をのせるための皿にすぎない」と考える主人公たちを通して「自分とは何か?」という答の出ない問いに正面から取り組んでいくお話───ではなく、そんな彼らが殺人事件に巻き込まれてしまうお話です。トラブルは境遇やら状況なんてお構いなしにやってくる。まったく、困ったものです。

Sky Theater PROJECT 四方田直樹

PREV | TOP PAGE